今、この地名を見ると、なんともロマンチックな地名だと思います。
釧路市のホームページで町名の由来を調べると、
「カツラコイとは夷語にて『水鳥の浪に集る』と云う義にして
頗る詩的情緒味ある字義に因り原名を重んじ桂恋と称す」
とありまして、さらに、
「カツラは水鳥の名 るり羽色の鳥」という記述があります。
さて、桂恋には歌にも最初から出てきますが、
カモメの群が集まる岩があり、激しく飛び交っています。
しかしこの町名の由来となっている、カツラという鳥が、
るり羽色ということで、あれれっとなります。
るり色とは瑠璃色。紫がかった紺色です。
これは、明らかにカモメではありません。
辞書で調べますと、瑠璃鳥は深い山の谷に住む、よくさえずるツグミ科の小鳥です。
羽は瑠璃色だそうです。
しかし、これは水鳥ではありません。
つまり、昔、アイヌの方々が「カツラ」と呼んでいた、
和人が瑠璃鳥と呼ぶ鳥とは別の「羽が紺色の水鳥」がいたわけです。
その「紺色の羽を広げて、波の上に集まって飛び交っていた場所」がカツラコイで、
その音に漢字をあてて「桂恋」となったわけですね。
さいごにこの漢字を当てた人の感性がロマンチックだったわけですね。
それにしても「カツラ」という水鳥はいったいどんな鳥なのでしょうか。
そして、今はどこに行ってしまったのでしょうか。
ところで僕は子供の頃、桂恋に行ったことがありませんでした。
そこはあまりにも遠い、ただ名前だけ耳障りの良い場所だったんです。